旭硝子財団助成研究成果報告2022
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大久保敏弘74Toshihiro OKUBO山本 英弘75Hidehiro YAMAMOTO自然災害における家計の防災意識とエネルギー意識に関する実証研究(2020採択)Empirical studies on people’s attitude to energy and natural disasters(Project 2020)女性議員が増えると何が変わるのか?-市区町村議会における実証的検討-(2020採択)How have policies changed as the number of female lawmakers increased?: An empirical study in local assemblies in Japan (Project 2020)60旭硝子財団 助成研究成果報告(2022)大規模自然災害(地震や台風など)が多発している現在,災害対策は政府任せでは難しくなってきている.企業や個人が積極的に防災に取り組む時代に入ってきている.本研究プロジェクトでは,人々はどう自然災害に対応すべきか,特に家計や就業者がどのような防災意識を持っているのか,また被災することでどう変化するのかを計量経済分析した.どう災害に強い地域社会や地域経済を作れるかを模索した.また,2011年の福島第一原発事故での教訓はエネルギーや電力供給をどう安全かつ安定的に維持していくかである.本来,国民的な議論があるべきはずであるが,個人のエネルギー意識や選好などの現状把握や分析はあまり進んでいないのが現状である.このようなことからミクロデータ(個人レベル)を独自に作成し数量分析を行った.主に二つの研究から成る.第一に個人の理想とするエネルギーの電源構成と過去の被災経験(特に東日本大震災)や個人特性との関係を明らかにする.第二に過去の大規模災害における被災がどのように人々の意識や行動(特に防災対策・備え,リスク行動,人への信頼・きづな,人へのやさしさ,互助共助,政府への信頼など)に影響したのかを明らかにする.In the last deacde, Japan has seen many large scale natural disasters (e.g. earthquakes, typhoons, and heavy rain). This research project investigates how individuals take countermeasures of natural disasters. First, we investigate individualʼs preference on energy mix (renewable, fossil fuels, or nuclear power) after the Great East Japan Earthquake. Second, we investigate the impact of individualʼs experience in a large scale natural disaster on his behaviors and awareness (risk behaviors, happiness, life satisfaction, disaster prevention meas-ures, and social capital).日本では女性の政治参画の遅れが課題とされている.これに対して,女性の議員を増やすという動きが広くみられるが,その効果については十分な検証がなされていない.そこで本研究課題では,市区町村議会を対象に,女性議員の割合と女性政策との関係を実証的に検討することで,「女性議員が増えると何が変わるのか」を解明することを試みた.全国の市区町村を対象とした質問紙調査にもとづく分析から,女性議員がいる場合はいない場合と比べて,ワークライフバランスと社会的弱者の支援に関する政策が多く導入されているが,社会・政治参加,健康に関する政策については効果がみられなかった.また,クリティカル・マスとして想定した20%以上の議員は,女性政策の導入に影響を及ぼさなかった.現状の日本の地方議会においては,女性議員が増えることによって政策が大きく変わるには至らないようである.議会内でみずからの政策選好を表明し,女性の実質代表として行動するための十分な環境が整っていないと推察される.In Japan, womenʼs participation in politics is lagging behind. There has been a widespread movement to in-crease the number of female lawmakers to address this issue. However, the effects of increasing the number of female assembly members have not been adequately investigated. Therefore, in this research project, we empirically examined the relationship between the ratio of female lawmakers and women-friendly policies,

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